pink heart様より頂いた小説です☆
第二話はこれでラストになります。
では、お楽しみください。
続きからどうぞ。
『CLAMP学園生徒会≪フェ風編≫』第二話③
翌日の放課後――フウは教室の教壇に乗っている資料と睨めっこしていた。担任の教師にその資料を資料室まで返して欲しいと頼まれたのだった。教壇に乗っている資料は三冊だけだが、一冊ずつ辞書の様な厚みがあり、女子1人が持つにはちょっと重そう…。担任は他の生徒には気弱だが、言い返す事の出来ないフウには強気だ。だからいつも仕事を頼んでくる。フウは教師にそれを見透かされているのも分かっていた。一息ついてフウは積まれた資料を一気に持ち始めて廊下に出た。
困っている時にいつも気付いて駆け付けてくれる人物に今日も期待してしまう。昨日の今日で気まずいのだが…
資料室に向かって歩き始めると、期待した通り後ろから「フウ!」とフェリオに呼ばれる。フウは嬉しかった。フェリオの方を振り返る。
「お前はまた一人でやろうとして!隣のクラスなんだから声掛けろよな!」
フウはその言葉が嬉しくて素直に手伝ってもらおうと思った瞬間、フェリオの背後から女子生徒がフェリオに腕組みして来た。
「フェリオ先輩!!」
フウはその女子生徒が昨日話に出たプリメーラと言う子だとすぐ分かった。
「またお前か!」フェリオは迷惑そうに腕を振りほどこうと自分の腕を上に上げる。
「先輩!今日こそ私と一緒に帰って!!」めげないプリメーラに迷惑そうなフェリオだが、そのやり取りを白い眼で見てしまうフウ。
「これは、こいつが勝手に…」
フウの冷めた視線に気付いて言い訳をしようとするフェリオにフウが遮る。

「私には関係ありませんから。どうぞお帰り下さい…失礼致します」少し強めな口調で言って資料室へ向かって歩き出すフウ。
そんなフウの腕をフェリオが「待て!」と言って掴む。
フウは首だけフェリオの方を向いて答える。
「まだ何か?」
「だから手伝うって!」
「結構です!」言い切って再び歩き始めるフウ。
歩き始めたフウの背後で「フウ先輩こわ~い」とプリメーラが甘い声で言っているのが聞こえる。フウは自分でも何でこんなにイライラしているのか分からなかった。ただ、フェリオの前で素直になれず意地を張ってしまう自分が情けなくて泣きそうになった。どんどんフェリオとの心の距離が離れて行ってしまいそうで…。
するとまたフェリオがフウの腕を掴んだ。今度は少し強めに掴まれたのでその勢いでフェリオの方を向いてしまう。そしてフェリオの顔を見た瞬間思わず大粒の涙が一粒こぼれてしまった。フウの涙を見て目を見開いて驚くフェリオ。フウは泣いてしまったのが恥ずかしくて俯く。
黙り込んでしまったフウにフェリオから話掛ける。
「お前……泣く程手伝って欲しかったのか?」
「…え?」
フェリオの全く的を射ぬ質問に驚いて顔を上げてしまうフウ。
「だから、泣く程手伝ってもらいたいんだったら最初から素直に言えよ」
フェリオの言葉に思わず笑い出してしまうフウ。
おかしそうに笑っているフウを不思議そうに様子を伺うフェリオ。
「何だよ?違うのか?」
フウは否定する様に首を横に振り、笑った。
「いいえ、泣いてしまう程手伝って頂きたかったです」
フウのその言葉と笑顔に安堵の表情を浮かべるフェリオ。
「よし!」と言ってフェリオはフウが持っていた資料を全部取り上げる様に持った。
「と言う事だから、お前は一人で帰れ」
ずっとそこに居たプリメーラにそう言って、フウの方を見て「行くぞ」と言って歩き出すフェリオ。
「ちょっと待ってよ!!」プリメーラの言葉に見向きもせず歩くフェリオをフウはプリメーラに軽く会釈してから後を追った。
「よろしいのでしょうか?」心配そうにフェリオに問うフウ。
「何が?」
「プリメーラさんです…」
「お前は泣く程手伝って欲しかったんだろ?」
「ええ、まぁ…」
「俺にはこっちの方が大事だ」
そう言ったフェリオの表情は前を向いているのでフウからは分からないが、照れている雰囲気がある。
「ありがとうございます」フウはお礼を言った。
「あ、あとフウ…」そう言ってフェリオは止まった。フウもそれに合わせて止まる。
「この前は言い過ぎた…悪かったな」
フェリオの謝罪の言葉に黙ってフェリオの背中を見るフウ。
「お前の事好きな奴、どっかに絶対居るよ」
相変わらず前を向いているフェリオ。
「私も言い過ぎてしまいました。すみません…フェリオが亡くなって欲しいなんてこれっぽっちも思っておりませんから…」
フウの突拍子もない言葉に思わず吹き出すフェリオ。そしてやっとフウの方を振り返って言った。
「お前、その言い回しやめろよな!!」
「でも本当の事ですから」
悪気なくニコッと笑うフウにフェリオは少し呆れた感じで「そりゃどうも…」と言って再び歩き出した。フウはフェリオの背中を追いかけながら思った。
“これだからフェリオが好きなのが止められませんわ…”
翌日のお昼休み――
「良かったわね!仲直り出来て!!」
昨日の一連の出来事をウミに報告したフウ。
「でも、そっかぁ…私の出番はなしね」
「あ!やっぱりウミさん何か企んでいらっしゃったのですね?!」
「だってフウには幸せになって欲しいしさ…」ウミは少し拗ねた口調で言いながら一冊のノートをフウに差し出した。
「何ですか?これ…」
「私が授業中に必死に考えたフウの恋愛成就プラン!」
「ウミさん!」少し強い口調で注意するフウだが、すぐ笑いながらため息をつく。
「でも、ありがとうございます。ウミさん」
「どういたしまして」ウミが笑顔で答える。
「でもフウはあれよね~」ウミが話を切り出す。
「何ですか?」
「ドMよね!ドM!」
「そ、そんな事ありませんわ!!!」
必死に否定するフウであった。。。
FIN-----
スポンサーサイト
コメントの投稿